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東京を巡る対談 月一更新

月船さらら(女優)× 平本正宏 対談 リズムを飛び越えた雑多な街、その或る姿

 

<「なぜか、根拠なくそう思う」>

平本 『metro』のように一から始めたという話をすると、僕の場合、設立したての『Noism』(演出振付家・金森穣率いるダンスカンパニー。新潟市民芸術文化会館「りゅーとぴあ」を拠点に活動)の音楽を手がけたとき、すべてにおいてノウハウがない状態をまざまざと感じました。でも、すごくスリリングな経験だった。

 

月船 なんか、「ノウハウがない」っていいよね。

平本 いいですね(笑)

    今回レーベルを作ったのにしても、ノウハウがない、手探りの状態でした。それでもやれたのは、『metro』に刺激を受けてもいるからですね。

月船 ひとりで始めるのと2人で始めたのとでは、大変さが違うだろうけどね(笑)

平本 それと、まだ聞きたいことがあるんですけど、『metro』を関西出身の2人が、あえて東京を拠点に作ったことの意味が知りたいんです。関西で結成したとしても、ひょっとしたら、いまとは違う成功があったかもしれないんじゃないかという素朴な疑問です。

月船 それは自分でも何でか不思議なくらいなんだけど・・・、東京という都市が、面白くって・・・好きだからなんだよねぇ。

平本 「陰獣」は神楽坂の劇場でですよね。

月船 うん、劇場を選ぶうえで、相棒の出口も私も、新宿や赤坂、特に下北沢はまったく頭になかった。駅を降りたときの雰囲気、劇場に足を踏み入れたときの雰囲気で、「絶対ここ!」って思いました。

平本 下北沢なんか、すでに演劇の街として確立してしまっていますよね。

月船 そう、だから避けた。

    最近、そろそろ『metro』を関西でも演ったらとか言われるんだけど、あっちで演る気がさらさら起きないんです。もちろん、関西のことは大好きなんだけど。

    『metro』の芝居は東京でしか成立しない。なぜか、根拠なくそう思う。だから、『metro』を観に東京まで来てって(笑)

平本 月船さんも僕も、お互い、雑多な「東京感」が大好きなんですよねぇ。すぐ何かが「露呈」しちゃうところっていうか。

月船 「あ、見えちゃった」みたいな(笑)

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