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東京を巡る対談 月一更新

月船さらら(女優)× 平本正宏 対談 リズムを飛び越えた雑多な街、その或る姿


収録日:2011年4月26日

収録地:東京都庁(JR新宿駅西口徒歩10分)

対談場所:にほん酒や(東京都武蔵野市吉祥寺本町2-7-13)
http://web-farmer.jp/


撮影:moco

<「働かされてる」街に再会できた>

月船 東京に住んで5年になるんだけど・・・。

    20歳前後で初めて東京に来て、西新宿のホテルに泊まり、街のビル群を眺めたときに、あまりカッコ良くない「東京」を感じました(笑)

    夜の12時を過ぎてるのに、ビルのいろんなところに電気が点いていて、人が仕事してるのが見えて、「(人が)働かされてる」街だなぁ、と。そういうのが全然カッコ良くなかった。ビルも、六本木なんかとは違って、お洒落じゃないものがいくつも立ち並んでいて、・・・でもグッとくるものがあった。

平本 東京のカッコ良くない部分をそのとき目の当たりにしたんですか。

月船 うん、カッコ良くないんだけど、「これが東京の現実なんだ」と受け入れた。新宿は、西口には行政の中枢としての都庁と、それを取り巻く静かなビル群があり、また対照的に、東口には歌舞伎町があってぐちゃぐちゃしている。まるで目的のわからない街ですよね。

    それで今回、平本さんのCDを聴かせてもらって、初心に帰ることができたんです。自分の思ってた「東京」に再会できた。

    東京で5年間を過ごして、たくさんの街を好きになったけれど、いま思うと、最初に出会った西新宿の街が強烈な印象として残っています。

平本 およそ20年前、都庁が建設されたころは、西新宿が東京のひとつの象徴的な場所でしたね。月船さんが初めて西新宿を訪れたときは、首都機能がそこに集中し、いまより活気ある時期だったかもしれません。

    それにしても、東京って、無駄な動きが多いように感じませんか。物もネオンも、歩いている人も過剰に感じる・・・。そういった過剰さの発端が月船さんが見た時期の西新宿にある気がする。人が働き過ぎる、ビルが高すぎる、建物を詰め込みすぎる、というふうに。

月船 うん、わかる。

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