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東京を巡る対談 月一更新

中山寛子(スタイリスト)× 平本正宏 対談 あるスタイリストが「裸」に辿りつくまで



<体型と切り離せないファッション>

平本 60年代末から東京のファッションの歴史に寄り添ってきて、ファッションはどういうふうに変遷してきたと思いますか。

中山 みんなお洒落になったなぁと思います。こういう言いかたをしていいか分からないけど、昔はお金持ちとそうでない人のファッションがはっきり違っていました。それがバブル経済でみんながお金を持つようになって、差異がなくなってきた。昔は、オーダーの良い服を着ているっていうのがひと目で分かったものですけど。

平本 僕も感じることがあるんですが、街を例にとっても、ここはこういう人たちが行く場所っていう差異の感覚が薄らいできていますよね。

中山 庶民には住みやすくなったねぇ(笑)。

でも、国内だけの話じゃなくて、当時はフランスをお手本にして一所懸命ファッションを学んだのに、いまじゃ、向こうの人が日本のファッションを真似したいって思うくらいだから。日本ってスゴイ!

それでも、伝統ということにおいては、洋服の分野ではフランスやイタリアには敵わないと思っています。生地の素材、カットなどなど、どうやっても太刀打ちできないものであるような。


対談は中山氏お気に入りの着物で臨まれた

最近、私は着物が好きなの。日本がファッションで外国に勝負できるとしたら着物だなぁって思って。

向こうの人の手脚の長さ、骨格を見てみれば、分かりますよね。ちゃんと服はそこにいる人に似合うようにできてるんです。逆に着物だったら、日本人の方が圧倒的に似合いますから。

それで、着物の文化を失うのが惜しいので、できるだけ着るようにしてますね。

平本 そういう意識はいつごろ芽生えたんですか。

中山 このごろの話です。撮影にも役立つから、着付けを勉強していったら、色々と新しい発見があったしね。

平本 服は身体に密着するから、ファッションって体型と切っても切り離せないものですね。

中山 ヒラリー・クリントンさんを見ていて、ちょっと太ってきたと思うけど、でもやっぱり、年を重ねても美しい。明るい色が似合ってる。年を重ねたら日本人は外国人の洋服文化に太刀打ちできないから、日本の首相夫人は、外国訪問する時には着物で行ってほしいと思う。その方が絶対格好いいから!

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