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東京を巡る対談 月一更新

無良崇人(フィギュアスケーター)×平本正宏 対談 音楽を愛して止まないプロフィギュアスケーター

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〈音楽が心を自在にコントロールしてくれる〉

平本 試合当日の一日の流れというのはどのようなものなのでしょうか?

無良 まず二日くらい前に会場の土地に着いて、翌日から公式練習が一日あります。公式練習が始まった日から二日後くらいにショートの試合、フリーの試合が始まります。水曜日にその土地に到着し、木、金が練習、土、日が試合というのが大体のパターンです。一日目のスケジュールは朝起きて、散歩をするなりして、昼に2、3時間の練習、夕方にまた2、3時間の練習です。試合当日は朝公式練習をしてから本番を迎えますね。試合当日の朝の公式練習の調子が悪かった場合、試合までにどうやって自分の気持ちを高めるかにかかるんです。部屋の中にいても、気持ちを切り替えていかないといけない。その時に無音の状態が続いてしまうとずっと練習の調子が悪かったことを考えてしまうので、音楽をかけます。試合の前はテンションを上げていかないといけない場合もありますし、興奮状態になってしまっていたら逆に気持ちを落ち着かせないといけないので、それぞれのシチュエーションに分けて音楽を聴いています。

平本 それぞれの場合、どのような音楽を聴くんですか?

無良 テンションを上げていかないといけないときは、EDMとかヒップホップを聴いていることが多いです。

平本 最近聴いた中で一番テンションを上げることができた曲はなんですか?

無良 結構たくさん聴いているので…(iphoneに入っているプレイリストから曲を探し出す)。プレイリストがめちゃくちゃ多いので、どのぐらい入っているんだろう。昔はiPhoneに容量目一杯音楽を入れていました。おまけにハイレゾとかも入れていたのでなおさらです。

平本 ハイレゾはかなり容量使いますよね。アルバム一枚で2GBくらい使うので、昔のiPhoneだとハイレゾ版のアルバムを30枚も入れられなかったです。

無良 以前は携帯を二つ持っていて、一つを音楽だけしか入っていない状態にしていました。265GBのiPhoneが常に音楽でマックスまで容量を使っていました!

平本 それはすごいですね!(笑)

無良 今はSpotifyを使い始めてからだいぶ楽になりましたね。それまではパソコンの3分の2は音楽で使っていました。

平本 なんだか無良さんが音楽業界の救世主に見えてきました(笑)

無良 一時期iTunesで曲を買いすぎてすごい請求されたことがあります(笑)。音楽だけで1ヶ月10万円くらい行きました。

平本 それは、すごい!

無良 気に入った曲が見つからない…。一個のプレイリストの中に400曲くらい入っていて、それをランダム再生しているんです。岡山まで車で行くことがあるんですけど、行き来で6時間~8時間かかるんですよ。その間に再生するプレイリストを切り替えたりするのがめんどくさいので、400曲入っているプレイリストを流しっぱなしにするんです。

平本 確かにそれぐらい車を運転していれば、400曲はあった方がいいかもしれませんね。

無良 それだけ一つのプレイリストに曲を入れていると、長時間車を運転している間で一回も聴かない曲とかあるんです(笑)

Spotifyとか聴いていると、アーティストにどれだけの収入にしかならないのか心配になります。
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平本 確かにストリーミング配信は音楽家にとっては全然収入になりません。ですが、世界配信されるので、思いがけないところで聴かれたりと自分の音楽が広まるチャンスは増えると思います。3月末に「TOKYO PIANO」というピアノアルバムをリリースしたのですが、そのアルバムが今月に入って、イギリスと中国でかなりの数再生されています。再生回数は毎日アーティスト側に通知されるので、それでわかるのですが、プロモーションを全くしていない国で楽しんでくれている人がいるのは嬉しいですし、面白い現象だと思っています。こういうことはストリーミングになるまでは無かったので。

無良 そうですね。いろんなアーティストが紹介されるのでとりあえず聴いてみよう、となります。それにこのアーティストのことは知らなかったけど、曲を聴いてみるといい曲だったという発見が結構あります。

平本 聞くハードルが下がるのはいいことだと思うんです。新しい音楽と出会うチャンスが増えますし、それによって自分の興味が拡張する。アーティストへの金銭的還元を抜きにしたら、面白い時代に突入したなと思いますね。

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