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東京を巡る対談 月一更新

Tekna TOKYO Orchestra スペシャルトーク デジナマ吟醸『テクナオケ』のつくりかた

8曲目「open s.o.s」について

平本 この曲は最初、リズムトラックのないドローンのうねりを重ねたアレンジだったんです。リバーブ多めでスペイシーな感じの。そのアレンジで沙良ちゃんの歌はレコーディングしたんだけど、なんかアレンジにしっくり来なかったんです。で、ふとチープなサウンドのリズムトラックとエレピにいろいろな音が重なっていくアレンジを思いついて、大々的に変更しました。

前のアレンジと同じなのはBPMくらいで、あとはドローンのサウンドファイル1つをのぞいて心機一転。リバーブを多めにかけようと考えていた歌も、完全にデッドな音に仕上げることにしました。

ミックス大変じゃないかと思うんだけど、どうですか? ギター、チェロ、シンセとウワもの沢山あるけど。

元木 チェロはサイレントチェロで、その演奏をableton liveのボコーダーに通して4度上を鳴らしていますね。それほどミックスは難しくなかったですが、ボーカルの音像を狭めて真ん中に持ってきているので、他の曲とは違った聴こえ方をすると思います。

9曲目「FREE FOR ALL」について

平本 なんかポップロックな曲が作りたくて作ったんだね(笑)。「ブルックリンパーラー」のライブの2nd. setで披露して、そのときは篠山さんが撮ったローラ・チャンの映像に合わせて演奏しました。シンディ・ローパーをイメージしたんだけど、その割には重厚なディストーションサウンドな曲になったね(笑)。

リズムはTRITON、エレクトロニクス系はKAOSS PAD3で加工した音をableton liveでさらに加工しています。

元木 なんだかんだでミックスに時間がかかりましたね。チェロはサイレントチェロで、ProtoolsのSans Ampとイコライザーで音作りをしています。

平本 最初にチェロ録って、ラフミックスしたものを中村君に送ったんだよね。そのときはチェロのロックな演奏が頭からビッシリ入っていたから、この音を聴いてどういうギターを入れてくれるかなと思ったら、バトルのような激しいディストーションサウンドをさらに乗せてきて(笑)。

関口 それでそのバトルを生かすようにリズムトラックの響きを細かく変更していったんだよね。リズムマシン的な響きを生っぽくするというか。アンプシミュレーターをいろいろ試したり、EQで帯域を調整したり。最後の全体にフランジャーをかけてグルグルするところは平本さんが色々と注文つけて大変だったり(笑)。

平本 本当にね、元木君に申し訳なかったです(笑)。2、3時間作業してもらって、結局最初ので行こうって言いまして・・・。

元木 いえいえ(笑)。

10曲目「Voyager」について

平本 最初は多重録音でチェロを5本ぐらい重ねるような曲を書こうと思って取りかかった曲ですね。結局一番最初に出てくるチェロのリフだけ同じで、あとは全部変えてしまいました。そのときのフレーズをエレキギターで演奏していたりします。キックとベースのバランスが一工夫あって、キックを出した瞬間はベースを切ってしまっています。だから、キックに少し遅れてベースが鳴り、曲の中がブツブツ切れるような聴こえ方を作ることができましたね。チェロは、最初のリフはサイレントチェロにProtoolsでdelayのプラグインをかけていて、間奏は生チェロです。

元木 この曲のボーカルは完全にデッドにしましたね。「open s.o.s」は全体に馴染ませるために実は薄いリバーブをかけていますが、これは全くかけていません。あと、ボーカルのサウンドは別トラックでExciterで高域だけ歪ませたりもしています。

吉田 私の中でハスキーボイスのひとに歌って欲しいという感覚があって、それで高域を強めにした音を作ってもらっています。

中村 ちょっとずつ音が蓄積していって最後滲んでいくっていう、テクナオケが得意な楽曲の1つですよね。ギターは弾いてもいますが、ノイズで遊ぶような部分も沢山あるんですが、宅録の知識がなくギターのノイズを曲に合わせてマニュアルで録音する方法が思いつかなかった。それで結局細かくオートメーションを書いて、ノイズの動きをつけているんですよ。

11曲目「my only universe」

平本 ハーフディミニッシュを多用するとウイスキーのCMみたいな曲が書けるんだということを知って、それで作った曲ですね(笑)。「You and the Cello」の対の曲というか、「You and the Cello」は中間部が盛り上がるのに対して、この曲は中間部が一番静か。曲の始まりもフィールドレコーディングした街の音を使って、同じ導入部にしました。

すごくいいアンサンブルができましたが、歌、チェロ、ギター、ピアノ、全部別録りですね。ミックスも1時間くらいでできたんだよね。

関口 3つの楽器の掛け合いというか、フォーメーションがうまく行っているけど、確かチェロとギターはそれぞれピアノしか聴けない状況でレコーディングしているから、お互いが何をするかわからないで弾いているんだよね。中村君は対旋律うまいし。チェロはこの曲だけ全編にわたって譜面を書いています。

中村 ギターはトレモロの音が印象的ですよね。静寂さを伝えられていると思います。

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