佐藤 こないだのライブを見て思ったのは、台湾の音を使って、映像も台湾の街の風景を切り取ったものにして、ライブをやってみてほしいな、と。
平本 そうしたいです。
ヨーロッパは建物が固定していて、街の音の変動があまりないように思っていて。僕があえて東京の音を収集していったわけは、そこに変わりゆく音の姿があるのではないかと思ったからなんです。
そう考えると、台湾や中国の街は、ビルが建つとかして様相がガンガン動いているはずで、音も面白いと思う。
佐藤 絶対面白いと思う! 上海の工事の音なんかハンパないんだから。15年前に初めて行ったときとは違う街になってて、特に道は全く変わってしまっています。1か月でも相当変わるの。
平本 短期間での変動が多いんですね。
佐藤 そう。ビルの裏にはまだ古い街並みが残っているんだけど、そこの音と、1本道を挟んだところのブランド街の音に激しい差がある。
それから台北では、ゴミ収集車が「エリーゼのために」を流しながら走ってる。日本だとゴミ収集車は朝来るものだけど、向こうでは地域によって来る時間帯が違っています。夜10時にさえ走っていて、遠くからその音楽が聴こえてくると、みんな一斉にゴミを出すためにダッシュするの。だからみんな、「エリーゼのために」には敏感(笑)。
平本 ゴミと言えば、東京はカラスが多いのが特徴かも。
佐藤 そうですね。台北はね、ゴキブリが多いよ。
一同 へぇ〜!
――――平本さん、ゴキブリの羽音もノイズ・ミュージックと言えるんじゃないですか(笑)。
平本 (笑)。えっと、ゴキブリの大きさは?
佐藤 日本のより大きい。それが飛んでくる音とか、網戸にとまる音とかカサーって。
天井から降ってきたこともあります、ポトッて枕元に。あの音も一生忘れない。水が垂れたみたいな音で、水漏れかなと思って電気点けてみたら違った(笑)。
平本 恐怖の音シリーズ、作れそうですね〜。