平本 海外と日本との違いを、さらに詳しく聞かせてください。
佐藤 仕事の内容も仕方も、人も、すべてが違いますね。
音に関連した話をすれば、日本で番組を作るときには、収録時は音なしで、編集段階でサウンドをつけるんです。でも台湾だと、収録中に音をつけちゃうの。
平本 へぇ〜!
佐藤 PCとキーボードを操作する裏方の仕事があって、熟練の技術を持ってる巨匠のような人が3人ぐらいいらっしゃるんだけど、収録中常にスタンバってて、演者の誰かがスベったら、それに合わせて「ゴテッ」て鳴らしたり(笑)。
平本 へぇぇぇぇ!!
佐藤 面白いこと言ったら、「きゃ〜〜」とかつけてくれたり。爆発音鳴らしたり。それから、トークしてるときにも、「テッテテ、テッテテ」とかBGMが流れてて……。
平本 全部その場で即興で?
佐藤 そう。で、悲しいナイーブな場面では暗い曲が流れるの。面白いでしょ?
で、向こうでそういうのに慣れてしまったから、日本で仕事をしはじめたころ、なぜかテンションが上がらないなと思ってたら、原因がそれでした。これは珍しいから、日本のタレントさんも台湾の番組に出たときに面白がってくれますね。
歌がPCのどこに入っているかも全部把握しているから、台本に書いてない歌の話題になったときに即座にカラオケが流れてくるの。それか即興で弾いたり。ほんとに凄い人たちなんです。
平本 巨匠が3人しかいないっていうところも、職人ぽくていいですね。
佐藤 それで、たまに見習いのような人がその作業につくときは、やっぱりノリが違うんですよ! トークのテンションと音がずれたり、とか。
平本 まるで番組収録が即興劇みたいだなぁ。すごく面白い。現場を見てみたい。