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東京を巡る対談 月一更新

高橋久美子(作家・作詞家)× 平本正宏 対談 言葉と音楽が触れられるもの

<コンプレックスいっぱいの中学時代>

高橋 平本さんは音楽に出会ったのはいくつくらいですか?

平本 作曲を始めたのは13才くらい。全くの独学だったんだ。僕も中学校の時あまり友達がいなくて、そのときテレビに出ていた小室哲哉がキーボードをガンガン弾いていて、こういうのかっこいいなと思ったのがきっかけ(笑)。

高橋 へえー!!

平本 部活もしていなかったし、ゲーセン行ったりもしてなかったから、家に帰ってひたすらキーボードを弾いていて、そのうち見よう見まねで作曲もし始めた。

それまでも音楽番組は見ていたけど特に興味は持たなくて。なんというか、これをやっていたら家族にも友達にも干渉されない自分だけの時間と空間があるっていう感じだったのかもしれないね。家帰って、手を洗って、電源を入れればもう自分の時間なわけだから。それでどんどんはまっていったの。

高橋さんも中学の時に詩を書き始めているけど、時期的にも何かあるのかもね。

高橋 自分の中に一番こもりやすい時なのかなあと。周りの人達もはしゃいでいるように見えて、実は家に帰ると色々なコンプレックスで悩んでいたりしたんだろうなと今なら思える。

平本 中学当時は自分だけがコンプレックスを抱えているように思ってしまっていたけどね。皆にはないんだろうな、いいなあと羨ましく思っていたけど、みんな一人になると同じだったのかもしれないね。

高橋 そうそう。中学三年の時、日記に「私は何も出来ません、何にもなれません」って書いたことがあって、そうしたら先生に呼び出されて「君は吹奏楽部でクラリネットもやっているし、生徒会の役員もやっているし、ピアノも弾けるし、何でもできるのになんでこんなことを書いたのか」と言われたことがあった。当時ヤンキーでパイプ振り回して、かっこいいと思っていた人も悩んでいたんだろうね。

平本 今思うとあの中学の時に始めたと言うことが長続きの理由のようにも思ったりするよ。

高橋 そうかあ。

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