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東京を巡る対談 月一更新

田中雅美(スポーツコメンテーター・シドニー五輪銅メダリスト)×平本正宏 対談 水の世界ーー重力からの解放

<アスリートは音楽好き>

田中 元体操の金メダリストの森末慎二さんもバンドを組んでらして、アスリートが集まってライブの応援やお手伝いに行ったりするんですけど、去年森末さんから「歌ってみたら?」と言われまして。私、あまり歌うまくないんですけど。

平本 本当ですか? いまからみんなでカラオケに行きましょうか?(笑)

田中 あはは。よく水泳選手って唄うまいと思われるんです、肺活量があると思われていて。でも、肺活量っていっても腹式ではないので、私たち水泳選手は肺なんですね。だから、水の中でも息を吐ききることはありませんし、長く息も続かないんです。止めておくのは得意なのですが。

平本 なるほど。息を止めておけるけど、吐き続けられるとは違うんですね。へえ、知りませんでした。水泳選手って、すごく肺活量あって、声も長く延ばせると思っていました。

田中 腹筋もすごくあるので、そう思うじゃないですか。だから、声の出し方が分からなくて、喉で歌っちゃうんです。でも、水泳選手でまとめちゃいけませんね、私がそうなんです(笑)。それで、去年My Little Loverの「Hello Again」を歌ったんです。今年は「渡良瀬橋」を歌うことになっていて、いま練習しています。「渡良瀬橋」、リコーダーが途中に入りますよね。それもやらなくちゃいけなくて、いまリコーダーの練習も。

平本 じゃあ、ライブ見に行きます。

田中 ぜひぜひ来て下さい! 9月の中旬にあるので。

平本 最前列で応援させてもらいます(笑)。

結構、音楽は好きなんですね?

田中 好きですね。やっぱり、スポーツと音楽って結構近いと思うので、エネルギーもらったりするし、アスリートみんな好きですよ。音楽嫌いなアスリートっていないんじゃないですか。スポーツはメンタルも必要なので、音楽に癒されたり、気持ちを乗せたりします。

平本 どんな曲聴きますか?

田中 洋楽も聴くんですけど、競技中は結構邦楽で、歌詞を聴いていました。2004年は、ケツメイシさんを聴いて、その前のオリンピックのときは宇多田ヒカルさん、福山雅治さん、ゆずさんの「栄光の架け橋」、96年はスピッツさんとか。

平本 思い出す曲沢山ですね。全部、オリンピックとセットに覚えられているんですね。

田中 仕事柄音楽について聴かれることもあるんですが、そのときに自分が何を聴いたかって言うのは、この試合のときはこれを聴いていたという風に覚えているんです。2003年だったらHYさんすごく聴いていたとか。移動中によくリピートしながら聴いていたので。

平本 そういうときって、1曲を集中的に聴くんですか?

田中 そうですねえ、ある曲を中心にその周辺も聴いてという感じですね。その曲から順番に聴いて、終わったらまたその曲に戻ったり。

平本 聴く順番とかは決めたりするんですか?

田中 昔はMDとか作って、曲順決めたりとかしましたね。暗くなるバラード尽くしで(笑)、暗い曲が結構好きで、よく聴いていますね。

平本 最近、理化学研究所が発表した研究結果で、暗い曲、悲しい曲は、そのメロディの通り人の気持ちを暗くさせるんじゃなくて、ロマンチックな気持ちにさせたり、心地よさをもたらすことが分かったんです。だから、結構そういう効果があったかもしれないですね。

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