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東京を巡る対談 月一更新

石川遼子(太陽研究者)×平本正宏 対談 いちばん身近な宇宙天体、太陽

<謎だらけだからの魅力>

平本 太陽ってこれほど身近で地球に多大な影響を及ぼし続けているのに、とても謎だらけでパワフルなんですね。人間にとっての音楽みたいですね。音楽と人体の関係もいまだに謎だらけですから。

石川 そうなんです! そこが一番最初に感じた魅力でもあります。

平本 でもこれほど身近な天体が謎に満ちているっていうのも不思議ですね。こういうことを言ってしまうと研究者に怒られてしまうかもしれませんが、太陽の研究が進まない理由ってあるんでしょうか? 熱いからとかあるんですか?

石川 そうですね(笑)、1つは望遠鏡の性能が上がると複雑なものが見えてきてしまって、謎が深まるという部分があると思います。

あとは、逆に見えすぎるので、臭いものにふたができないというか。こんなこと言っていいのでしょうか(笑)。

平本 それは重要なことだと思いますよ。つまり、1から10まで整数だけを見ると整合性が取れるのに、1と2の間を見た瞬間に全然違ったものが見えて整合性が取れなくなってしまうってことですよね。見えすぎるが故に、推測とほんの少し違った部分ですらわかってしまう。

石川 そうなんです。だから単純な描像ではダメだということがあると思います。

平本 どこら辺まで太陽を解明したいですか? 亡くなる2秒前まで研究ができるとして、僕は2秒前まで作曲したいなと思っているんですが(笑)、あと50年くらいは研究できますよね。

石川 そうですね(笑)、彩層、コロナ加熱っていうのがもうずっと長い間のミステリーなんですね、2、30年の。だからそこには一石を投じたいなと思っています。太陽研究をされている人は、みんなその問題に対して我こそはと思っているはずです。

固体、液体、気体と変化して、さらに電離するとプラズマになるんですが、そのプラズマと磁場がカップリングするとこういうダイナミックな動きになります。宇宙にはプラズマや磁場が満ち満ちているので、太陽の現象が解明されることで他の天体についてもわかると思います。他の天体をこんなに細かく観測するのは難しいので。

平本 一番身近な天体である太陽の研究が進むことで、宇宙のことがより深く理解されるわけですね。なるほど。

ちなみに、太陽の内部の研究はどうなんでしょうか? 外にこれほどの現象を作り出す太陽の内部がどうなっているのか、とても興味があるのですが。1600万度ですよね、どんな感じなんですかね。星が太陽の中に消えることもできたりしますか?

石川 時々彗星が飲み込まれることはありますよ。重力がすごいのでピュッと。

平本 それは、すごいですね! 動きとしては、太陽に突っ込んじゃう?

石川 そうです。ムービーも持っているのですが、今日は持ってきていませんね。

太陽の内部を見ることはできないのですが、「日震学」という学問があって、太陽の表面に音波が伝わっているのが見えるんですが、その音で中身を推測したりします。ちょうどスイカを叩いてその音で中身を想像するのに似ているかもしれません。

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