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東京を巡る対談 月一更新

石川遼子(太陽研究者)×平本正宏 対談 いちばん身近な宇宙天体、太陽

<太陽観測ロケット5分の仕事>

平本 観測ロケットの準備は順調ですか?

石川 アメリカのニューメキシコ州にあるホワイトサンズでロケットを打ち上げます。その中に観測装置を入れて、5分間なんですが観測して、落ちてくるんです。

平本 たった5分間ですか!? なんで5分なんですか?

石川 紫外線を観測するので、ある程度の高さが必要なんです。その高度の間でしか観測できませんので、結果的に5分になりました。この5分のためにこれまでに2、3年、これから1、2年かけます。

平本 わあ、それはすごいですね。それこそ前回対談した田中利樹さんのような研究者の方と協同して、人工衛星に付けるわけにはいかないのですか?

石川 衛星に付けるとなるとお金がかかりますし、明確な結果が確約できるものでないとダメなんです。新しい観測装置を作ろうとしている人はロケットを選びますね。

平本 確かに宇宙に滞在する時間が増えれば増えるほど、リスクも増えますしね。

石川 そのリスクに耐えうるものを作るためにまたコストがかかりますし。

平本 打ち上げるときは現地に行かれるんですか?

石川 そうですね。見届けようと思います。

平本 新しい観測装置はうまくいきそうですか?

石川 そうですね。彩層の磁場を測ることはみんながしてみたいと思っていたことなので、ここで結果が出たらまた新しい発見ができそうです。

平本 絶対に成功して欲しいですね!

最後になりますが、東京として井の頭公園を選んだ理由を教えて下さい。

石川 普段三鷹の天文台で仕事していまして、緑も沢山あってのんびりしているんです。それで、吉祥寺って、渋谷とか新宿とか東京的な場所と三鷹のちょうど狭間というイメージで、みんな思い思いに過ごしている印象です。

で、東京ってイメージしたときに“ザ・東京”みたいな場所じゃなくて、井の頭公園みたいな場所が私にとっての東京なのかなと思いました。

平本 三鷹とか吉祥寺って井の頭公園みたいにのんびりした場所もありますし、繁華街もあるので、結構事足りてしまうんですよね。ご飯食べたり、買い物したり、散歩したり、お酒飲んだり。

結構ぶらぶらしますか?

石川 そうですね。行っても新宿どまりですね。

平本 三鷹も吉祥寺も雰囲気いいですからね。僕も好きです。

貴重な5分間のロケットでの観測がうまくいくといいですね。太陽研究と、地球を知る大きな一歩になるような予感がします。ありがとうございました。

協力:鎌田耕平


石川遼子 (太陽研究者) RYOHKO ISHIKAWA

1983年山口県生まれ。国立天文台・日本学術振興会特別研究員。東京大学理学系研究科天文学専攻博士課程修了。太陽観測衛星「ひので」のデータ解析で博士号取得。現在は、「ひので」を使って太陽を見つめる傍ら、太陽観測ロケット実験CLASPの開発を推進中。

撮影:moco http://www.moco-photo.com/

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