長尾健太郎(数学者)×平本正宏 対談
収録日:2011年10月26日
収録地:豊島清掃工場前(JR山手線北口徒歩5分)
対談場所:南池袋某カフェ
撮影:moco
<きっかけは算数オリンピック>
平本 高校の先輩にあたる長尾さんは国際数学オリンピックの活躍で当時から有名でしたが、そもそも数学が自分のなかの中心になってきたのはなぜなんですか。
長尾 数学オリンピックの小学生版として、1992年に日本で算数オリンピックが始まりました。小学6年生でそれに参加して6位に入賞し、中国で行われる数学のコンテストに行くことができました。
まさか算数をやっていて外国へ行くことになるとは思っていなくて……。その経験は大きかった。
算数オリンピックがきっかけで、算数との接しかたが変わりましたね。それで、数学オリンピックに出られたらいいなぁと目標を持ちました。
平本 算数オリンピックからだったんですね。
長尾 姉が2人いて、家に数学の教科書があったから、ひとりで読んで……あんまり人に数学を教わった記憶がないんですよ。
教科書には新しい考えかたが書いてあり、読んでいて単純に面白かった。
平本 中学校に入ってからも独学されていた?
長尾 そうです。
平本 数学オリンピックって、どうやると出られるんですか。
長尾 国内の予選、本選があり、春にある合宿で選手が選ばれます。
平本 中3で初めて出たんでしたよね。
長尾 国内の予選が中2の1月にあって、その申込みが秋ぐらいだったんですが、ふと前年の予選の問題を解いてみたら思っていたより出来ていたので、受けてみようかなと。
平本 その世界大会での成績はいかがでしたか。
長尾 銀メダルでした。メダルは上位3人にしか与えられないのではなく、上位何割が金で、その下の何割が銀で銅で、というふうになっています。
平本 昔、数学オリンピックで出る問題を見たことがあるんですが、学校で教わる数学とは少し違いますよね?
長尾 ちょっと違う。
平本 ひらめきが重要な問題が多いのでしょうか。
長尾 気づけば一発、というのもあれば、小さいアイディアを積み重ねて解く問題もありました。