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東京を巡る対談 月一更新

フルタヨウコ(料理家・編集者)×平本正宏 対談 料理と音楽は相似形



<建築関係の仕事は5%ぐらい>

平本 自分一人の力って大したこと無いと最近強く思うようになりました。他の人の発想だったり、作品だったり、全然自分の分野と関係ないことだったり、そういうものからもらえる力は、1人で悶々としてやろうとするものの何倍も面白かったり。特に自分のことを理解してくれたり、リスペクトしてくれている人やその人からの提案はいいですよね。

フルタ そうなんですよね。自分でこうやりたいって考える以上にはならないんだけど、向こうからこうやってほしいと言われたら、その人が求めているものと自分が思っていることは同じではないので、お互いにとって予想できないいいものになってくるんですね。一番辛いのが、相手がこう考えているので、その中でやってくれればいいです的なもの。



平本 それは分かりますね。僕も仕事をしていて仕事がしづらい人は、面白い提案を受け入れてくれない人ですね。人と人ってお互いが想像しているもの/結果って違うものじゃないですか。だからお互いの発想を見せ合った時に、自分が思ってもいなかった相手の提案を驚いて楽しめたら大丈夫なんですけど。相手を受け入れてそこから出発できると、自分一人では出せない力が出せるかもしれないので。その化学反応がいいものだと、色々楽しみながらできるんだろうなと思います。

だからヨウコさんはいっぱい楽しんでるんでしょうね。

フルタ そうですね。自分の枠とか考えないほうが楽しめるので、考えないようにしています(笑)。

平本 楽しい方がいいですよね!(笑)

今ヨウコさんは料理関係のお仕事をされていたり、対談編集のお仕事もされていますけど、それぞれのお仕事の割合ってどういう感じなんですか?

フルタ たぶんジャムを作るのが半分ぐらいの割合です。他の料理が3割、あと雑誌等の仕事が1割5分で、あとは建築系のライターやカメラマンの仕事ですね。昔から引きずっている仕事が5%ぐらいです。

平本 この前建築家の鳴川肇さんとイベントをされていたのはその5%の建築系ですか?

フルタ 建築系なのかな。でもあれも一番最初はケータリングを依頼されてからなんですが、次の年はファシリテーターでした。他にもカメラマンの仕事をしに行った先でケータリングの依頼をされたり。例えば都市プランナーの人を撮影しながら結構話をして、その中で「私も、ケータリングの仕事をもしてるんですよ」って話をしていくうちに後日その人から仕事の依頼をされたりとか。

平本 へー。ヨウコさんいい運がついてますね。

フルタ だから、そういうことが営業になるかもしれないんですけど、売り込みという形の営業ってしたこと無いんですよ。ポートフォリオとかブックを作ったことが無いですし。ブック代わりにホームページを作りなさいって言われて、作りました。

平本 それはヨウコさんの宣伝用ということで?

フルタ そうです。相手もカメラマンをブックで見て選ぶ人もいるからね。ブックを見て仕事がきた方が良いって言う人もいれば、じゃない方が良いと思う人もいるのかもしれない。だからどちらも選択できるホームページがよいだろうと。

平本 じゃあ自分で、こういうのができるので仕事下さいみたいのは無いんですね。僕はどうなんだろ、ザ・営業的な売り込みはやってないかもしれないですね。さっきもお話ししましたが、基本的に僕の曲を聴いて下さいというスタンスです。

フルタ そういうのもないですね。お土産で渡したジャムがきっかけで仕事になったとかはありますが。

平本 それはすごいですよね。

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