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東京を巡る対談 月一更新

Hajime Kinoko(現代アーティスト、緊縛師、ロープアーティスト、写真家)×平本正宏 対談

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〈”shibari”は今や世界に通用する言葉になった〉

平本 その、幅が広い、というのはどういう感じですか?

Hajime 緊縛とSMって一緒だと思うじゃないですか。どう違うかというと、SMとフェティッシュというのも違っていて、枠的にはフェティッシュの方がでかくて、その中にSM、そしてSMの中に緊縛があるという感じです。種類もちょっと違っていて、SMの中には緊縛があるけれど、SMじゃない緊縛もある。そういうのはSMのジャンルではないんじゃないかと思います。

平本 というと、緊縛自体は全てSMが起源というわけではないのですね?

Hajime そうですね。緊縛は罪人を捕らえるために生まれたので、日本が一番マニアックで、縛りについて細部のディテールまですごくこだわりがある。日本の縛り、緊縛は世界の人にすごく愛されている。昔は縛り自体はボンデージという言葉だったんですけど、今は”shibari”と呼ばれているんです。

平本 shibariは世界に通じる言葉になったのですか、すごいですね。海外で”shibari”というと、日本の縛り以外のことも含まれるのですか?

Hajime 日本の縛りだけでなく縛り全般を指します。僕は海外のアングラの縛りマニアの人たちに誘われて、海外へ仕事に行くことがあるんです。

平本 そういえば、この間はイタリア、その前にはアメリカにも行かれいましたよね?

Hajime 呼ばれて仕事をするくらい縛りってすごい流行っているんですよ。

平本 縛りが海外で流行っているのはここ何年かの話なのでしょうか?急速に早まってきたのか、それともじわじわと長い間流行り続けたのですか?
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Hajime 10年前くらいからですかね。少し前まではアングラの人たちだけからshibari、shibariと言われていましたけど、2年前にバーニングマンっていう、アメリカの砂漠の真ん中でやるイベントに呼んでもらって作品を展示した時に、一般の人たちからshibariって言われて、「あー普通の人たちもshibariっていうんだ」と実感しました。

平本 なるほど、Kinokoさんの縛りを楽しみにしていた人たちだけでなく、そのイベントに居合わせた人たちもshibariという言葉を使っていたわけですね。

Hajime 普通の人たちにもshibariという言葉が定着していたので、僕は嬉しかったです。

平本 それはKinokoさんの活動であったり、他の方の活動によって、世界にshibariという言葉が浸透していることの証ですよね。

Hajime 僕が見えている中で、緊縛の業界の中のアーティストみんながやろうとしていることは、マニアックな人たちにより一層マニアックなものを見せて、すごいと思ってもらいたい人がほとんどなんです。僕は、そういうことにはあまり興味がなくて、もうちょっと一般の人たちに向けて、僕の表現を知ってもらいたい、というのがあります。だから一般に浸透しやすい形になっていたりとか。

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