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東京を巡る対談 月一更新

Hajime Kinoko(現代アーティスト、緊縛師、ロープアーティスト、写真家)×平本正宏 対談

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〈縛られることで逆に解放されていく不思議〉

Hajime 平本さんが持って来て下さった写真集「Perfect Red」は”つながり”がテーマになっています。例えばM字開脚で縛って、手ぬぐいで猿轡されて、”つな繋がり”を表現をしたとしても、一般の人たちは入り込めないと思うんですよね。だからわかりやすく表現するために、こういう表現にしました。

平本 わかります。実は僕の友達も昨年のkinokoさんの展覧会オープニングを見に来ていて、すごくよかった、誘ってもらってよかったと話していました。作品を見る前には緊縛に対する固定観念、偏見があったそうなのですが、見ていくうちに自分の中にあったそれらがどんどん崩れていって、新しい見方が浸透していったようです。確かに旧来のイメージを覆す圧倒的なパワーと美しさが作品にありますよね。

Hajime そうですね。狙ってやっているというのもあるんですけど、偶然に自分の中を吐き出した時にこういうのができたというのもあったりしてます。

平本 「Red」シリーズはどういう風にスタートしたんですか?
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Hajime
 もともと僕が初めて縛ったのは、20年くらい前にフェティッシュバーをやっていた時、その時出会って付き合ってた彼女がSMのM女ちゃんだったからなんです。その子が縛られるのが好きったので、僕も勉強して彼女を縛りました。その時に感じたのは、「縛りってエロいという感覚じゃないんだ」ということでした。縛りをしておっぱいを動けなくしたとき、肉感とかそういうものに全く興奮せずに、縄が手の一部になって、相手を包んでいる、ハグしてあげている感覚だったんです。その時に相手は縛られているのに解放されていっているような感覚になっていて、だから、外見とは逆のことが内面ですごく起きてた。天才と馬鹿は紙一重っていうじゃないですか。それと一緒で”縛られる”と”解放される”ってすごく紙一重なんだなと思ったんです。

平本 拘束する、されていくからどんどん体の自由を奪い、奪われていくように見えるけど、反対に解き放たれていくように感じる。不思議なように思いますが、なんか感覚的にとても理解できる気がします。

Hajime 僕は対人関係で怖がりだったりするんです。子供の頃とか、親が夜中の仕事に行っていたので、預けられたりしていじめられたりしていたから、対人関係を怖いと思うところがあるんです。だから人よりも、相手の気持ちに対して敏感なところがあって。

縛る時に、縛られている方は動けなくなる。こっちが紳士的に接してあげると、相手も紳士的だと感じてくれる。お互いの究極な状態を築いている。男と女が危険なことを共有すると結ばれやすくなることってあるじゃないですか。縛っている時ってまさにその状態なんですよ。

平本 そこに愛や愛情、思いやりが満ちていないと、その行為は嫌なものになってしまう。

Hajime あと女性の多くって日常で縛られるじゃないですか。縛られる行為って、嫌いな人に対しては縛んないと思うんですよ。”危ないな、こいつ”という人に対しては縛って動けなくする。必要があって縛る。多少の束縛って男の人から見たら女の人が縛っているように思うんですよ。縛られることで、自分が必要とされていると体で感じられるから、そこで解放されていくんじゃないかなって思うんです。だから人が縛られるたびに幸せを感じ、その相手とのつながりを感じられて、これって素晴らしいなって思ったんです。自分の形が相手の束縛によって変わっていく。自分と相手が培ってきた軌跡が体に現れる。相手の呼吸に合わせて、欲しいところを欲しいタイミングで欲しい強さで縛ってあげるんです。そうすると二人が思い描いていた二人だけの世界ができ、それがラインとして彼女の体に刻まれていく。それがウェブ縛りですね。

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