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東京を巡る対談 月一更新

Hajime Kinoko(現代アーティスト、緊縛師、ロープアーティスト、写真家)×平本正宏 対談

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〈コミュニケーションアートである縛りは即興セッションに似ている〉

平本 (写真集を見ながら)縛りの跡をメインとした作品もありますよね。

縛りは、縛る人と縛られる人が二人で創っていくパフォーマンス、コミュニケーションのアートなんですね。音楽の、即興のセッションに似ていると思いました。去年Kinokoさんのイベントのオープニングで演奏させて頂いた時に、1時間の演奏のうち30分くらいはヴァイオリニストとふたりで、即興でセッションをしていたんです。今まで結構な時間一緒に演奏してきた仲間なので、信頼がありますし、信頼があるぶん、相手とのやりとりをちゃんと受け止めて、次にこうやったら面白いんじゃないかとか、次は相手はこれを弾いて欲しいんじゃないか、とか感じながら、伝えられる。たぶん彼も同じように考えて、次の音を紡ぎ出してくれる。その結果二人の間で、想像もしなかったような音楽を創り出すことができました。

Hajime あのイベントの時の心境って、ある程度の計画はあるんですけど、構造とか縄の編み方とかはそのときの音を受け取って、自分がヴィジュアライザーみたいな感覚でやりましたね。

平本 僕もKinokoさんが目の前で縛っているのをみると、こう縛るなら、こういう音を僕らが出したら面白いんじゃないか、と考えたりしながら演奏していました。

Hajime あの時はとても縛りやすかったです。すごいシンパシーみたいなものが生まれていたんじゃないかな。

平本 あっという間に時間が過ぎましたし、いい体験でした。自分が発している音が縄を通して色々なところへ広がっていって、ときに縄通し干渉して、また別の方向へ広がっていく。縄自体が、ヴァイオリンの弦の揺れとシンクロするようなときもありました。

普段からこういうことを感じながらKinokoさんは縛っているわけですよね。それが、一番最初に縛ったときから感じられたというのは面白いですね。

Hajime 11月だったかな。ダンサーの人と縛られるモデルさん、自分、映像の人、DJの人が、で1日の中でライブで作品をどんどん作っていって、その中に竹のアーティストが絡んできて、その間にダンサーが絡んでくるんですけど、メインぐらいの時間にインスタレーションが完成して、そこで一人モデルさんなんですけど、ダンサーと一緒に踊ったり、縛られて宙吊りになっていく。音楽で盛り上がったんですけど、そういう一個の作品をみんなで作っていくということをやったんです。川崎のクラブ チッタ アティックの二階でやったんですよ。またここで平本さんとやりたいなって。その時はクラブチックになっていた。先日平本さんが演奏したのはクラシックじゃないですか。なんかすごいいいなって思いましたね。映像とかも、光を当てる人がいるんですけど。Bump of ChikenのMVを作っている人で。毎回ライブ行って、その人を呼んでやってもらって、ミュージックビデオで一緒だったんで、その人にやってもらったり。

平本 11月の時は、かなり色々なアーティストと一緒に集まって作品を作ったんですね!

Hajime だからもうちょっと品があるやつを。今度はライティングでも暖色の。なんか見ながらワインが合いそうな(笑)
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平本 いいですね、やりましょう!Kinokoさんの過去の作品を見たときに、クラブミュージックやエレクトロニカ系の音楽が合うなという印象を持ちました。映像を作られた人がBGMにそういう音楽をつけていたのかもしれませんが、映像見ていて、逆にクラシカルなものをKinokoさんの作品にぶつけたら面白いんじゃないかと思ったんです。いままでにない側面で縛りと音楽の関係が浮かび上がってきたらいいなと。元々「Perfect Red」のオープニングイベントはシンセサイザーで演奏しようと思っていましたが、このアイディアが浮かんで急遽変えました、ヴァイオリニストにも急いで連絡して。

Hajime 良かったですよ。

平本 ヴァイオリンは弦楽器なので、弦と縄でシンパシーがあるかなと思ったんですが、この選択は正解だったと思っています。演奏時間があっという間に感じたのは久しぶりでした。イベント当日、Kinokoさんが縛る赤いロープから出てきた小さなほつれ、糸くずが僕らの演奏する譜面や鍵盤に落ちてきて、少しずつ赤く染まっていくんです。これはいいな、と感じました。もっと鍵盤が赤く染まってほしいと思ったり、今後グランドピアノでセッションできる機会があったら、ピアノも一緒に縛ってもらいたいなとか色々考えています。

Hajime なんかコラボですごいいいイベントができたらいいですよね。音楽は全般任せるので。本当に音楽のことはよくわかんなくて。自分が好きな音楽を使っているだけで。

平本 面白いことができる気がしています。演奏者も増やして、例えば弦楽カルテット、クインテットとピアノとかにしてゴージャスにしたら楽しそう。今回、本当に演奏がしやすかった、呼応とか、共鳴とか、そういうことを感じました。

Hajime 女性を縛る時は、僕はフェミニストだから女の人の意見を聞きながら、様子を見ながら縛るんですけど、感じながら反応して縛るんです。音楽に合わせながら縛っていったりすると、相手も音楽に乗っかってくる。ショーの時は絶対に音楽は重要で、縛るときに音楽のBPMもあるんですけど、なんか様子が変わる、そういう時は縛りも別途シーンを変えたりとか、自然と反応してやっている。だからそういうのを感じてくれたのかもしれない。

平本 そう伺うと謎が解ける感じがしますね。本当にいい時間だったので。

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