平本 まだ行っていない、行きたいところはどこですか?
勅使河原 カンボジアは行きたいですね。この前ベトナム行って良かったので。あとは、ミャンマーとか、ペルーとかも行きたいなぁ。
サルサにハマった頃、踊りにいっていた「ボデギータ」という店や、六本木に行くとペルーから出稼ぎに来ている人がいっぱいいたので、その影響でペルーは行きたいですね。
平本 ペルー人はサルサを踊れるんですか?
勅使河原 踊ります。中南米はアルゼンチンとブラジル以外はほとんどサルサ。ドミニカに行くとまたちょっと変わって、メレンゲやバチャータというリズムになるんですけど、サルサはラテンアメリカ全体のものですね。
平本 なるほど、それは知りませんでした。
ちなみにオススメのサルサはどんなのですか?
勅使河原 かなりマニアック過ぎるかもしれませんが、キューバにハバナ・デ・プリメーラというバンドがあります。アレクサンドル・アブルという、トランペットを吹いて歌を歌うミュージシャンがリーダーなのですけど。昨年来日しました。「イスラ・デ・サルサ」というフェスティバルが福岡であって、ティエンポ・リベロ・アメリカというNPO法人がスペイン語とスペイン語圏の文化を広めるために開催しています。そのフェスティバルのために来日してしました。
でも私が一番好きなのは、ロス・バン・バンという、キューバの国民的なバンド。70年の大阪万博のときに最初に来日していて、もう40年以上活動しています。リーダーは変わらないんですけど、カンタンテと呼ばれる花形の歌手達は代変わりとしていて。ソンゴとか古いリズムをがっちり守っていて、ホーンセクションもバリバリ、どの曲もすごく分厚いんです。
平本 メンバーが入れ替わるってなんかディープパープルみたいな感じですね(笑)。タームごとにメンバーが変わって、リーダーは変わらなくて。
勅使河原 ですね。最初聴いた時になんてダサいリズムなんだろうって思ったんですけど。なんかサトウキビ畑で働いている人が好みそうなもっさいリズムだなぁと(笑)。でも、これがね、なんかいいんですよ。腰に来るんですね、すごく腰にぐっとくる。
平本 漫画家のヤマザキマリさんがキューバの女性は、腰がすごいバンッてしている方が多いと言ってましたよ。空港に着いたときに驚いたと。
勅使河原 本当に、腰をどれだけまわすかで勝負していますからね、そうなりますね(笑)。
平本 いやー、それはこの目で見てみたいなあ(笑)。
勅使河原 もう私、それにハマって、93年から2000年まではずっと腰をまわしてましたから。なんか、あやしいですね、こう言うと(笑)。
平本 今回の対談のタイトルにしましょうか、『勅使河原加奈子×平本正宏 対談 ーー 私、93年から2000年まではずっと腰をまわしてましたから』でどうでしょう(笑)。
勅使河原 あはははは。キューバのサルサはもう3度の飯より好きですね。それがあったら、もう大丈夫と。幸せです。だからキューバでどんな不愉快な事があっても、それ聴いたら全部抜けちゃいます。
平本 キューバ音楽は、勅使河原さんの血となり、肉となってるところがあるんですね。
勅使河原 でも自分としての仕事はものすごく洗練されたフランス料理なので。