全てが、今まで作ったことのないお気に入りの曲
・TPの楽曲の中で、いちばんのお気に入りはどの曲ですか?
H:全曲です(笑)
これは理由があって、このアルバムには「いままでこんな曲は作ったことがない」と自分で思えるものだけを収録しました。
「TOKYO PIANO」の制作期間はほぼ毎日ピアノの即興演奏とその録音をしていて、全部で約50曲ができました。その50曲の中で、こういう曲は作ったことがあると思えるものはすべて捨てて、それで30曲が残り、その30曲も吟味する中で、自分がこの曲を作った自分に驚かないと思った作品は捨てていきました。
で、もうこれは絶対にいい曲だ!、と思った作品だけを残して、それが16曲だったので、全部お気に入りなんです(笑)すみません、絞れず。
・あ、さっき回答してもらったところの、捨てた基準がわかりました!なるほど!
全てがお気に入りとお聞きして、なぜか安心感を覚えます(笑) さすが!
自分で全てが良い曲としてリリースしましたが、その先に聴いているヒトがどんな顔して聴いていたらうれしいな、ってありますか?
わたしの場合は、この作品を聴きながら、怒りなどいわゆる負の感情以外のすべてが出てきたと思います。聴き始めた時期もあったのですが、かなり感情が動くのでそういった意味で、これから聴き始める人たちにもその部分も期待してもらいたいなと思います。
H:どんな顔ですか(笑)面白い切り口ですね。
そうだなあ、人には見せない顔して聴いてくれていると嬉しいかもしれませんね。ヘッドホンで街中歩きながら聴いているときは難しいかもしれませんが。
ぼんやりした間抜けな顔でも、ホッとした顔でも、誰かや何かを思う顔でも、泣き顔でも、その人が対人を気にしないで、自分とこの作品との関係だけになれて、表情も解放してもらえたらそれが一番いいと思います。
・聴き始め当初、泣きまくり!
H:コンサートでもぜひ泣いて下さい。
・そだねー(笑)
H:もちろん世界中の人に、と心の中では思っていますが(笑)
でも具体的に挙げるとしたら、東京に来たことがない人に聞いてもらいたいというのはあります。
実際に東京を知らない人がこの曲を聴いたらどんな印象を持つのか、興味があるんです。
この曲を聞いて東京をどんな街と想像するのか、ピアノと電車や雑踏、車や鳥の音が混ざったこの音楽を聞いて、どんなイメージをするのか。それは実際の東京の街とは違うと思いますが、音楽が喚起させた、音楽によって作り出された東京じゃないですか。そのイマジネーションを覗いてみたいです。
・TPをどんなシチュエーションで聴いてほしいですか?
H:心の準備をして、真剣に向き合って、みたいな聴き方は合っていないかと思います、このアルバム(笑)
なので、日常生活のお供にしてくれたらいいなと思っています。
通勤とか通学とか、移動するときに聞いてもらってもいいし、ちょっとした作業のときでも、お酒のときにでも流してもらってもいいし、ゆったりくつろぎながら聴き込んでもらってもいいし。
アルバムを作るときに、エンターテイメント作品であるようにしたいと思ったんです。アルバムの聴き方を限定しない、聞いてくれた人がそれぞれの聴く場所や楽しむタイミングを自由に見つけられる作品にしたいと。
その部分はうまく行ったんじゃないかと思っています。
だから本当にご自由にお聞きくださいが本心です(笑)
・わかる!だれでもどこでも、生活密着型の作品だよね(笑)
強いて言えば、井の頭線沿線住民にはどんぴしゃ!爆
H:そうそう、生活密着型ピアノアルバムなんですよ(笑)