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東京を巡る対談 月一更新

野村佑香(女優)×平本正宏 対談 子役から女優、そして母への軌跡

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<舞台とテレビに対応できるスイッチを作ることが大切>

平本 舞台とテレビではお芝居の感覚は違いますか?

野村 違うと思います。作品に対してかけられる時間も違う、テレビは瞬発力だけど、舞台は持続力みたいなもの。テレビはテストを3、4回やって本番1回しかしませんし、終わるとそれ以降はそのシーンには接しないです。だから全然違いますよね。ただ、どんな状況にも対応することができます。大切なのは、テレビ、舞台とそれに対応できるスイッチを自分で作れるかですね。

平本 ライブとレコーディングの関係に似ていますね。ライブは1曲を通して弾いて、全部で10曲とかそれ以上を1ステージで披露します。自分の演奏も目の前のお客さんの反応も、日によって場所によって違いますから、冷静になりつつ、情熱を注いでいく。逆にレコーディングは、パッケージとしての完成品を作る訳ですから、短い時間でベストテイクを紡ぎ出さなくてはいけない。時には、1曲を何分割かしてレコーディングしますし。お客さんのいない状態でお客さんに聞かれることを前提にブース内で作業しますから、ライブとは違った演奏や耳の使い方をします。ライブを沢山してきたから、レコーディングも大丈夫という訳では全然ないので、どちらも違った対応力が必要なんです。まさに、テレビと舞台の違いと同じ気がします。

初めての舞台はいつですか?

野村 19のときです。全然出来なかったです。今の私が客席で見ていたらボロクソに言ってますね。自分では舞台に立てているので出来ているのかなと思っていたけど、声の出し方、身体の使い方が恥ずかしいくらい全然だめでした。

平本 その経験をした後、舞台を続けていこうと思いましたか?

野村 うん、次の舞台のお話を頂けたということもあったし、ライブ感がすごく好きだったから。お客さんが入ってくるのはテレビとは違いますよね。

平本 そうですね。かならず化学反応が起きますよね。お客さん、会場の空間から影響を絶対に受けますから。自分が思っている以上に自分の感覚が敏感である、開けているということに、気付きますよね。

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