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東京を巡る対談 月一更新

小㞍健太(ダンサー/振付家)× 平本正宏 対談 研ぎ澄まされた経験的感覚—探り、踊る


(キリアン振付「Sleepless」)

<キリアン作品と関係していく>

平本 モナコには何年いたんですか。

小㞍 計4年間です。憧れていたキリアンの作品を踊りたくて、モナコを出ました。モナコの3年めにNDT2のオーディションに落ちてます。で、次の年にもう一度受けて通りました。落ちたからなおさら行きたくなったというのもある(笑)。

平本 それで、移籍してからはキリアン尽くし?

小㞍 NDT2の1年めは、イスラエルはバットシェバ舞踊団の、オハッド・ナハリンの作品「マイナス16」しか舞台で踊らせてもらえなかったという記憶があります。新入りは、基本、アンダーだからリハーサルばっかり(苦笑)。ツアー公演のプログラムにはその作品が絶対入っていたから、毎回舞台には立つんだけど、やっぱりキリアンの作品を横目で見ながらはキツかった……。

2年めの一番最初のプログラムにキリアンの新作があって、そこで初めて1stキャストに入った。さきほどの「スリープレス」です。

平本 結局NDT2にはどれくらい所属してたんですか。

小㞍 2003年から2006年まででした。

平本 その3年間で印象深い作品はありますか。

小㞍 「シャポー」っていう、オランダのベアトリクス女王のための作品かな。以前まで、NDTは女王から個人的にサポートを受けていて、キリアンとも友好な関係でした。そういう経緯で、女王即位25年のときに、「キリアン・セレブレーション」というプログラムをNDT2で組み、女王を招待して「インディゴ・ローズ」「27’52”」、そして新作「シャポー」を上演しました。

女王は帽子が大好きで、コレクションしてるんですよ。「シャポー」は、クィーンの音楽に乗って、その女王の帽子のコピーをダンサーたちが、曲げたり投げたり踏んだりしながら、はちゃめちゃに踊りまくる作品です。キリアンには珍しいコメディ作品。

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