(小㞍健太、平本正宏の2008年のコラボレーション作品「Je pense, donc je suis」)
<「TOKYO nude」の印象および続編はどのようになるのか>
平本 ついでなんですが(笑)、僕のCDを聴いてみてどうでしたか。
小㞍 いいと思う。東京の雰囲気がすごくよく出てたと思う。
平本 それは嬉しい!
小㞍 でもなんか、その雰囲気の捉えかたが日本人離れしてるというか、ヨーロッパっぽいというか。
平本 へぇ〜。それは初めて聞く感想です。もうちょっと具体的に聞きたい。
小㞍 勝手な想像だけど、音楽の流れや繋ぎかたから、人混みでインスピレーションを得て、それに合う音楽になっているのかなと思ったし、音楽を聴きながら浮かんでくる情景が、ところどころヨーロッパにある情景を想像させてくれもした。一口に東京と言っても、いろんな地域があるし、自分の知らない場所もたくさんあるから、自然と僕の記憶と平本さんの音楽がマッチして、そういう情景を思い出させたのかもしれないですね。
それに、喧嘩している恋人同士や雨の降りだしそうな空、といったように、街の一情景を想像してから平本さんの音楽を聴くとすごく合うと思います。ドラマを喚起させる。独り遊びのような聴きかただけど、自分で「東京ストーリー」を想像して作って、東京の街や人々のイメージと音楽を合わせて聴いてみたいなぁ。平本さんの音楽を聴きながら東京を歩く、とか。
平本 それはいいアイディア。やってみようかな。
いま新しいアルバムを作ってて、「TOKYO nude」の単なる続編にはならないんですが、今度の作品の方がより東京っぽいものになりそうな手応えを感じています。東京のころころ情報が変わっていく側面に焦点を当てていて。
小㞍 情報の変わりの速さって、東京ならではだよねぇ。
平本 ヨーロッパとは対照的に、東京は1年でがらっと変わりますから。
そうだ。「TOKYO nude」で踊るっていうのは想像できますか。CDを作る最後の段階でマスタリング(音の最終調整)をするんですが、「TOKYO nude」はエンジニアの方にお願いして、どんな空間でもかっこよく鳴るようにしてもらいました。だから、劇場で鳴らしてもすごく良いのだけど。
小㞍 もちろん音楽にインスピレーションを受けることも多いからね。想像できるよ。劇場の舞台で振付作品をやる時は特に、音楽と振付が密接な関係で、どちらかを欠いては作品として成り立たないくらいでないと。そうじゃなかったら、一緒に舞台でやる意味ないと思います。そこまでのものを作らないといけないですね!