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東京を巡る対談 月一更新

成田憲保(天文学者)×平本正宏 対談 未知なる惑星を求めて



<逆向き惑星のこれからの研究>

平本 それ以降同じような星は見つかっているんですか?

成田 僕が見つけたのが最初ではあったんですけど、それから5年間で大量に観測されるようになって、今では同じような逆行惑星がだいたい10個ぐらいは発見されています。

平本 それは成田さんが発見するまでは見つからなかったわけじゃないですか。

成田 逆向きについては最初ですね。その前からもしかしたらかなり傾いているかもっていう惑星は見つかっていて、傾いているだけだと先に発見している人もいます。実は太陽系も7度くらい傾いているんですよ。ただ発見した後も、逆行惑星がどうやってできたんだろうと思って、色々な観測をしてどうやってできたのかを調べる、というところまでやって別の論文にしました。

平本 最初の発見から5年ぐらいで10個ぐらい見つかってきたんですね。

成田 僕は最初の発見の時には関わっていたんですが、その後アメリカのグループがすごい数の惑星を観測し始めて、その後は向こうの方が多くの結果を出してくるようになったんです。

平本 そうなんですか。ということは一定数逆向きの惑星はあるということですね。

成田 なので先程も言ったんですが、逆向きに回るような惑星もちゃんと生み出されるようなメカニズムを把握しないと宇宙の真実を理解したことにはならないんです。太陽系だけを説明するのでは、本当に起きていることをきちんと理解できてはいない。だから太陽系のようなものもできるし、逆向きの惑星もできる、というのが実際に宇宙で起きていることなので、その全体像を理解したいというのが大きな目的です。

平本 最後に今日、東京をイメージする場所として国立天文台を選ばれた理由を教えて下さい。ここは成田さんにとって職場になりますよね。






太陽灯望遠鏡(通称 アインシュタイン塔)



成田 大学で4年間と大学院での5年間は東大にいて、本郷にいたのは大学3年からなので7年間なんですけど、なんだかんだでこっちにも7年いるので、大学と同じぐらいずっと通っている思い出のある場所になってきています。これからもハビタブルプラネットを探す、そしてそれらがどういう惑星なのか、研究を続けていきたい場所ですね。

平本 東大もこの国立天文台も環境がいいですよね。研究に向いているというと変ですけど、リラックスもできるので、集中もできて周りの喧噪からも離れていて、いい場所だと眺めていて改めて思いました。

本日はありがとうございました!!


成田 憲保 / Norio Narita

天文学者。
日本学術振興会 特別研究員
国立天文台 太陽系外惑星探査プロジェクト室
1981年(昭和56年)千葉県千葉市生まれ。
2003年(平成15年)東京大学理学部物理学科卒業。
2008年(平成20年)東京大学大学院博士課程修了(理学博士)。
日本学術振興特別研究員PD、国立天文台研究員を経て、2012年から国立天文台特任助教(国立天文台フェロー)。
専門分野は、太陽系外惑星の観測。太陽以外の恒星にある惑星がその親星の前を通過する食の現象を用いて、惑星の大気や起源を調べる研究を行っている。
研究と並行して、最先端の科学の知識を子どもや一般に向けて伝える活動を行っており、特に小学校の総合学習の時間で行う「アストロバイオロジー教室」を異分野の若手研究者と共に企画して実施してきた。
主な著作物に「一家に1枚 宇宙図」(共著)や天文雑誌「星ナビ」での解説記事などがある。

撮影:moco http://www.moco-photo.com/

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