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東京を巡る対談 月一更新

成田憲保(天文学者)×平本正宏 対談 未知なる惑星を求めて


<4000個以上惑星の候補>

平本 それで赤外線で見れるようになると、研究がかなり進みますよね。アプローチの仕方を変えると、見えていたものも変わるっていうのは面白いですね。今まで可視光で観測をするというのは一般人の僕でも想像できるじゃないですか。緑色の星が見つかるとか、青色の星が見つかるとかすれば良いのかなと思いますけど、赤外線で見たらさらに可能性が広がる。

成田 そうですね。それともう一つ系外惑星を見つけるアプローチがあって、トランジット法というのがあります。トランジットというのは英語で通過するという意味なんですけど、惑星が親星の前を通過する、横切っていくような惑星を探すという方法です。惑星の軌道が我々から見てどう傾いているかは普通分からないんですけど、たまたま真横から見ているような惑星があったりすると、発見することが出来るんです。ただこれはレアですね。

平本 それって角度によって真横に、一直線に移動しているように見えるということですよね。

成田 幾何学的にはそうはならないことの方が多いんですが、先程話したケプラー宇宙望遠鏡はこのトランジット法を使って4000個以上惑星の候補を発見しているんです。

平本 なるほど。その惑星の候補というのはどういう基準でなるんですか?

成田 まず定期的に恒星が暗くなっているという現象を探します。惑星の軌道が恒星の前を通過していると、公転周期ごとに特定の時間だけ暗くなります。宇宙望遠鏡とか地上望遠鏡でずっと同じ星を観測し続けることで、公転周期ごとに数時間とか1日とかそれぐらいの時間暗くなるという現象を発見できるんです。そうやってたまに暗くなっているということは前を通り過ぎる何かいるのかもしれない。ただその何かっていうのが、惑星ではなくて他の星である可能性もあるんですが、ケプラーみたいな高精度な宇宙望遠鏡になってくると、精度がいいので暗くなり方から惑星ぽいなっていうのがわかります。

平本 惑星と普通の星では暗くなるパターンは違うんですか?

成田 通過しているのが星の場合だと、暗くなり方が惑星とは違って、例えば青い光と赤い光の2通りで暗くなり方を比べると、星と惑星では明らかに違うんです。星の場合は二つの光で減光の深さが違うのですけど、惑星だとほとんど一緒なんですよ。そこから惑星なのか、星なのかが判別できます。

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