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東京を巡る対談 月一更新

束芋(現代美術家)×平本正宏 対談 日常の中の「隠れた衝動」を引き出す

<それぞれの日常サイクル>

平本 日常の生活/制作スタイルはどんな感じ? 僕は、大体7時半頃起きて『あまちゃん』見て(笑)、午前中~大体夕方まで作曲という感じなんだけど。締め切り近いときは朝6時から仕事したり、深夜まで続けたり。そうでないときは夜は人と会ったり、ミーティングあるときもあったり、なるべく午前~夕方は制作の時間として確保しようとしているけど。

束芋 朝は好きな時間に起きる。自然に目が覚めるときに。絶対に睡眠時間はちゃんと摂る。で、ご飯も1人で食べることはなくて、家族と食べたり、友達と食べたりして、誰かと一緒に、同じ時間に同じものを食べる。一番普通の生活は、朝から昼までちょっと仕事をして、昼にはみんなでご飯を食べ、昼から夕方にかけては仕事をしつつ、散歩に行ったりして、夜、ご飯食べた後は、ほとんど仕事ができない(笑)。仕事は1日、数時間しかしていないっていう感じ(笑)。

だから、本当に切羽詰まってきたらその辺は全然変わってくるの。でも、その気持ちになるまでは、毎日少しずつでも制作を前に進めていく、続けていくっていうことを一番大切にしてる。毎日、無理をせず、今日も明日も明後日も、同じように見えるアニメーションの原画を描く、みたいな(笑)。1日でこれだけしなくちゃいけない、みたいなのはちょっと忘れて、とにかく何も考えず、少しずつ進めていく。

平本 なるほど。そのスタイルはいつくらいから?

束芋 えーっと、いつぐらいからだろう。もう無理をしないって思ったのが、やっぱり2004年くらいからかな。芋々(実妹、束芋のアシスタント)がね、そのときから手伝ってくれていて、メールのやり取りや雑務は全部任せることができたから、それで可能になってきたかもしれない。

平本 夕飯食べちゃうとっていうのはわかるんだよね(笑)。

束芋 そうだよねえ(笑)

平本 僕は特にお酒入っちゃうから(笑)。作曲していても夕方くらいになるとソワソワしてきちゃって、「今日は何を飲もうか。そして、それに合う食事は何かな」が気になって仕方なくなっちゃって。

束芋 そうなんだー(笑)。じゃあ、夕飯食べるのは何時?

平本 そうだね、7時くらいかな。

束芋 おおー、結構早いね。うちもだよ(笑)。

平本 あはは。

束芋 だからそう考えると、1日に集中しているのって、多分3、4時間くらいなんじゃないかな。朝からの時間を考えても。でも、それが毎日やれれば何かが進んでいくでしょ。

平本 そうだね。だから日中になんかダラダラしているミーティングとかがあると時間取れなくなって、なかなかしんどかったり。

束芋 だから、無理せずやることがいい作品を生むと信じて、日常も楽しみつつ、お酒飲んだり、美味しいものを食べたりしながら、切羽詰まらないように。

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