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東京を巡る対談 月一更新

林かんな(映像翻訳者・世界ワーカー)×平本正宏 対談 ホドロフスキーに魅せられて飛び込んだ映画の世界

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〈音楽そのもの以上に音楽が流れる環境が好き〉

平本 かんなさんは普段音楽は聴きますか?
 音楽はですね、好きなバンドはいるにはいて、30代の頃はまだCDも買っていたんですけど最近は本当に買わなくなりましたね。かといってspotifyとかを聞くわけでもなくここ4、5年はラジオから流れてくる音楽を聞くだけです。この現象はなんなのでしょうね。

元々はパンクが好きだったんです。でもずっと音楽をかけているかっていうと、受験勉強のときなんかはむしろ音楽というよりラジオを聴いてましたし。

20年ぐらい前から好きなバンドは?って聞かれると、ずっとパーラメント、P-ファンク・オールスターズと答えていました。ステージではアホみたいな恰好してるのに、演奏はうまいし、歌はかっこいい。パフォーマンス全体が好きなんでしょうね。ちょっと前に孫たちと一緒にやってたTiny desk concertもよかったです。https://www.youtube.com/watch?v=IxAcW7zgAD4

あと今までウォークマン的なものを所持したことが一度もないんですよ。唯一所有したのはスペインにいるときにミニスピーカーにつなげてコンポ代わりにするために買ったときですね。移動のときも聴かないですし。

今回の対談で音について聞かれるだろうなと思って、メモしていたんですけど、嫌なタイプの音ならあります。映画館の中でコンビニ袋をカサカサする音が聞こえたら注意しちゃうくらい嫌なんですよ。鼻をすする音なんかも一度耳に入っちゃうとその音が頭から離れなくなっちゃう。

街の音ってノイズが聞こえてはいるけど聴いていないじゃないですか。そういう音を一度拾っちゃうと、嫌なのにフォーカスしてしまうのが悪い癖ですね。

平本 音楽ももちろんでしょうけど、音に対する意識の方が大きいんでしょうね。ただただ音楽と向き合うのではなくて、音楽が流れる環境も含めた方を好むというか。スペインでのウォークマンの使い方もそんな感じに受け取りました。

不快な音ってそうだと思います。音ってイヤだと思ったらイヤのままなんだと思います。匂いみたいにそのうち慣れちゃうということがなく、ずっと不快を引きずってしまう。だから、その音を排除するか、好きになるかしか不快を取り除く方法はないんです。もし、かんなさんが鼻をすする音を好きになったら、その音は聞こえなくなるかもしれませんが、鼻をすする音が好きというフェティシズムもねえ(笑)

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